5月17日

今日のマストは免許の更新。期限が来週までなので危なかった。府中の試験場に行かねばと思い、6時半起きしたものの、三茶の世田谷署でもできることに家を出るタイミングで気づく。先週から引きずっている風邪でよく鼻をかんでいたため、鼻の下がカサカサ。例によって、以上に証明写真が億劫だ。府中に行くついでに、ずっと行ってみたかった国立の「ダバクニタチ」でランチをしようと思い立つも、結局世田谷署に向かう。シバカリーワラでも、西永福まで行ってウミネコカレーでも、何でもいいな、とにかくお腹がカレーと決まっている。

三茶に来たついでに、家賃やら光熱費やらを銀行に準備。先週入ったばかりの給料がもうすっからかんだ。もう、知らぬ間にいろいろ引き落とされているから怖い。常にお金がない。おいしいものには前のめりで払いたくなるのに……。誰に払っているか分からないお金って、どうも払うことに抵抗がある。昔は徴収しに来てくれる人に払っていたんだろうけど、ライフライン事業はどんどん人件費を削減していて、なんだかありがたみがない。生活に欠かせないものだとはわかっていても、つい軽んじてしまう。ごめんなさい。星野源の『そして生活はつづく』にも、携帯料金の払込のこと、書いてあったな。

何かあったときのために貯金をしておけ、と親には口酸っぱく言われるけれどどうもお金を貯められない(というかこうして風邪をひいても医療費はケチってしまう)。言い訳をすると、貯金をしてまで生活の質を下げることは理解できないのである。安い、低品質のものを食べたり、気に入らないところはあるけど安いからかった服を着たり、その感覚は分からない。今の自分の身体や気持ちを大切にして、仕事を一つ一つ全力でやって、どんどん次に繋げていくことのほうがよっぽど未来への投資になるのでは?お金は通「価」だから、使いみちはいろいろあるけれど、使い方は「払う」だけだ。だったら、この身体や頭のほうが何倍も何十倍も使えるなって思う。

しぶしぶ振込みの手続きをして、免許更新の講習。かなりスムーズに進み、1時間もかからずに終了。府中じゃなくて本当に良かった。写真の出来は安定のサイアク感で、鼻の下のカサカサは写らなかったものの、美容師さんに申し訳ないくらい髪のボリュームの出方がおかしかった。またこれを数年持つことになるのか……。春から痩せたので顔の丸みは絶対値として減っているだろうけど、髪のせいでトータル印象変わらず。畜生。そういえば、撮影担当のおじさんに「右肩が上がってる」「左を向いてる」と言われた。正面を向いているつもりだったのに、どうやら感覚が歪んでいるらしい。整えなければ。ああ、仕事も右肩上がりになれば良いなあ、頑張ろうと思う。

免許証の出来の悪さにニヤつきながら三茶の駅に戻る。ちょうどタイミング良く来ていた渋谷行きのバスに乗り込んだものの、気持ちは国立。世田谷線で下高井戸に行ったほうが近かったかな〜と考えて、乗り換え検索してみると、そういや吉祥寺経由でも国立に行けることに気づく。せっかくなので、吉祥寺の百年に寄ってから国立に行くことにしよう。

久し振りの吉祥寺、未だに何故住みたい街ナンバーワンなのかがわからない。良いお店はあるものの、街のサイズ感が微妙だな、と思う。百年のオープンまで少し時間があるので、ゆっくりと向かって、ほぼ開店と同時に入る。店内では展示の設営と掃除をしていた。確かにこんなに早く本屋を目指してくる人、そんなにいませんよね、わかってるのにごめんなさい、という気持ちで本を見る。向井周太郎、伊藤俊治津野海太郎の本にビビッと来てお買上げ。大体装丁で買ってしまう。羽良多平吉と、平野甲賀だった。帰り際、入口の看板に「マーク・ボスウィックのプリント入荷しました!」と見つけるも、きっとすぐには手を出せないだろうな〜と泣く泣く店を後にした。プリント、うちにも置いたら売れるかなあ。写真は写真集として編集が効いているのが個人的に好きだったりもする。

中央線は学生もお年寄りも多い。というか車両が多くて人が多い。普段電車に乗らない生活なので、大きな路線を利用すると風邪をもらってくることがある。テレビで見た「吊革は汚いから触らない」族の話、気持ちは分からなくないけど、そこまで嫌うあなたも別に清潔ではないのでは?なんだか嫌な世の中だ。好きな人ならなんだってできるんでしょうよ。

モヤモヤしつつ、国立に到着。比較的閑静な北口5分ほどまっすぐ歩くとダバクニタチがあった。AMIのエミさんから聞いていたトールさんは日本人ではないのだろうか、出で立ちがインドだった。お母さんは割烹着でフロアをちゃきちゃきと回していて、とてもかわいかった。奥様かな?もすごく丁寧に料理を一つ一つ説明してくれて、良い方だった。2種のカレーといろいろついてくるダバランチをチョイス。チャトニという、インドのジャムらしきものを初めて食べたんだけど、これがまた良かった。今日はミントで作ってあって、カレーが爽やかで風味豊かになった。レモンのピクルスは辛め。少しずつ味見をしながら、日本人らしく、おそるおそるすべてを混ぜて食べていく。山田精一杯の大胆。こういう外国の大胆さには憧れを抱かずにはいられないし、つくづく日本人であることを思い知らされる、いや、いいんだけど。カレーは編集が実によく考えられている食べ物だ。お会計は、ご飯をインド米にしてもらったので+100円して1300円。850円のプレートもあったので、こんなに美味しくてもやっぱり国立価格だなあと思った。東京や、それこそ世田谷はやっぱり物価が高いと思うこともあるけれど、この水準だからこその平和や穏やかさもあったりなかったり。とにかく今住んでいる場所は好きだ。

もうひとつ、エミさんから教えてもらったBORTON(ボートン)へ。日向夏とレモンのデザートをイートインで。コーヒーはインド。柑橘&さっぱりのクリームでとても美味しい。グラスがVISION GLASSってのがまた良い。堅牢なので隅々までスプーンですくって食べた。隣の席のお姉さんはインスタグラムが好きそうで、スマホとは別にミラーレスのカメラで撮影。なんでもSNSで載せられちゃう時代に「写真撮っていいですか?」と訊くのってなんだか矛盾してるな―と思う。でもその一言でスムーズになったり、会話が始まったりすることもある。ストリートフォトも人の顔が写ってるどのうこうので問題になるけど、一体路上は誰のものなんだろうか。その場所に居た人は、その場所に咲いていた花みたいなものだと思うけど。おしゃれなお姉さんはきっとおしゃれな写真を撮ったであろう後でコーヒーをめちゃくちゃズビズビと音を立てて飲んでいた。お抹茶の飲み方はそのほうが正しい。

ふらふらと国立で気になっていた古道具・雑貨屋を3軒めぐる。GARAGEはお休み、レット・エム・インではメキシコのブサカワ魚の灰皿らしきものを2体買う。「ガワ(うつわ)はどう使うかと問いかけている」とアリクのヨッシーさんが言ってて、それを聞いて以来、出会ったうつわを本来の目的ではない使い方で使えないかを試している。たばこも吸わないし、ポプリとか入れようか。最後に寄ったコレノナはかなりエッジが効いていて面白かった。小さなテナントに広がる、昭和?大正くらいの日本。値札が付いていなかったものもあるので、コレクションなのかな。ここに来たことを記憶しておきたかったので、小さなお皿のようなものを買った。あの空間を作っていながら、お姉さんはちょっとおてんばな感じで、会えて良かった。今度また、領収書をもらいに行こう。

駅に戻り、中央線で新宿まで出てから、小田急の下北沢で下車。なんとなく、B&Bに寄る。ずっと気になっていたアタシ社の『たたみかた』があった。その他気になった本のタイトルをメモ。2軒も本屋に寄ったので、お腹がギュルギュルする。しばらく風邪からくる脱水状態だったからか、便秘気味になっていた。そうか、本屋に行けば出るのね、と得した気分になる。お手洗いを借り、いろいろ断念して『たたみかた』だけを買って、茶沢通り経由で帰ることに。カイソに寄ってみると、もうパンはほとんど売り切れていたので、セントのお菓子を一つ買って帰宅。いざというときに食べよう、誰かを呼んでお茶でもしながら食べたいな。

記憶したいもの、繋がりたい場所にお金を使った一日。さっそく『たたみかた』を読む。20代後半の悩みは、30代の人の言葉にヒントがある気がする。