仕事へのジレンマ

仕事についての悩みが尽きない。主に、仕事を広げたい気持ちと、今の仕事の質を高めたい気持ちの間で揺れ動いている。

言葉を選ばずに言えば(いつも口頭では周りの人に言っているけど)本屋で終わりたくない。本屋を拠点にした編集者でありたい。

インターネットの情報と同じように、過去の文献の情報を扱える編集者でありたい。古いものも新しいものも同じように価値を見いだせる感覚を大切にしたい。そういう意味で、本屋が拠点になることはこの年齢からするととても強みになるのではないかと思う。まあ、自分より沢山本を読む人は星の数ほどいるんだろうけど。

それに、本屋はメディアの一つの形としても可能性がある。インターネットや紙(本)にはできなくて、「場」にしかできないことがある。その実験の場として使わせてもらっている。好き勝手やらせてもらえる環境にあることは、本当にありがたいことだといつも思う。

とはいえ、ずっとひとつの場にいるのでは、集まる情報やインスピレーションに限りがある。最近外部の方と一緒に企画をやらせていただくことができるようになり、もっともっと外にも出かけていきたい気持ちが強くなった。

あわよくば、本屋としてはできないことを個人若しくはチームで形にできたら。そう思うと、定職へは踏み出せない自分がいる。今の時代フレックスタイムやフリー出社の会社もどんどん増えているけど、やっぱり距離が生まれるとタイムラグが生まれて、オンラインでは繋がってるようでも実はスムーズに連絡が取れなかったりする(返事に時差が生まれてもしょうがないと思ってしまう)から、結局効率が良いとは言えない気がする。

そういう意味では、今の会社はみんなで集まって集中して仕事して帰ろー!みたいなスタンスなので、良いなと思う。時代にガンガン逆らってるけど。

というわけなので、他の仕事をするとなるとどうしても勤務時間外になってしまい、他の仕事のほうは同じ時間帯に仕事ができないのである。しかも手を付けられるのがスキマ時間だから、がっつり取り組むのが難しい。となると、まとまった仕事ができない。収入的にも細々としてしまって、時間の余裕を作れない。あああ〜というジレンマなのです。

どうしたものか、、今日も悩む。

5月25日:流れに乗ること、自ら盛り上げること

ひたすら仕入れた本の詳細をECサイトに登録していく日だった。今週仕入れた本には、アラーキーものがいくつか。自分がずっとずっと欲しかったものも。今日からタカ・イシイギャラリーでアラーキーの展示が始まっているし、7月には写美で「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」も始まる。それに合わせて記事を書いたり展開を作れたらと思い、店長に仕入れをお願いしておいたのだ。

 

表参道ヒルズで「男ノ顔」展にたまたま行ったことはあったものの、本気で好きになってから(///)アラーキーの展示を見るのは初めて。今からうずうずしている。プリントを目の当たりにしたとき、どんな気持ちになるだろうか。自分の家族に対しての想いは少しまとまるだろうか。そして、一気にこんなに展示をやるので、ぶっちゃけ余命が心配。後悔しないように、全部観に行こう。

www.takaishiigallery.com

お昼過ぎには刷り上がったばかりの「ソール・ライターのすべて」も再入荷。昨日行った展示は本当に良かったので、売り切れになるほどみんなが買いたくなる気持ちも分かる。ただ、自店のイニシャルがチキって少なかったので、バイヤーとしてはここを読んで多めに仕入れておけば良かったな〜とちょっと悔やむ。それにしても、意外とソール・ライターが知られてることにびっくりした。この展示が開催されると知ったときは、自分は名前を聞いたことがあるくらいだったから(自分の知識なんてまだまだ浅いけど)。

 

SNSでひとしきり再入荷情報をポストして、入ったら連絡して欲しいと言ってくださったお客さんにもメールを送る。インスタグラムにも画家の椎木さんが買いに行きたいとコメントをくれたので、取り置き。やっぱり反応があるのは嬉しい。こうしてちゃんと自ら盛り上げることが大事だな、と本当に思う。うちは商品の90%が古本なので、トレンドの波をつい逃してしまうのだ(古本も価格が変動するからタイミングが命でもあるんだけど……)。新刊の出版や展示情報は常に入れておかないと。進行は遅れているようだけど、ソール・ライターのヌード写真集(本人のじゃないよ)『In My Room』もシュタイデルが作っているみたいなので、非常に楽しみ。展示で一部のプリントを観たけど、すごく美しくて。この情報は展示のプレスさんから教えてもらった。いろんな人に会って話しておくことも大事だ。受け身では責められるわけはないよなと。
今回の展示に併せた特設フェアは、自分たちのお客さんになって欲しい人たちに自分たちを知ってもらう目的がある。そして、まだまだその人達が知らない良い(写真)作品を知ってもらったり、自分がまだ知らない良い作品を教えてもらったりしたい。

 

今、アメリカの写真史を勉強している。特にウォーカー・エヴァンスロバート・フランク。決定的な1冊を出した写真家が、どんな功績を残したのか。前述の人たちが多くの写真家たちに影響を与えたもんだから、今となっては近しいものもたくさんあって、「なんでこの人がこんなに崇められてるの?」って疑問がすごく湧く、さすがに50年以上前の作品だから。しかも、アンリ・カルティエブレッソンみたいなひと目見てハッとするようなスタイルとは違って、写真の在り方を変えた概念系というか。だからこそ、知れば知るほど面白いし、見れば見るほど見方が変わるんです。明日には記事を公開できるよう頑張ろう。あー写真大好きやなあ。

5月17日

今日のマストは免許の更新。期限が来週までなので危なかった。府中の試験場に行かねばと思い、6時半起きしたものの、三茶の世田谷署でもできることに家を出るタイミングで気づく。先週から引きずっている風邪でよく鼻をかんでいたため、鼻の下がカサカサ。例によって、以上に証明写真が億劫だ。府中に行くついでに、ずっと行ってみたかった国立の「ダバクニタチ」でランチをしようと思い立つも、結局世田谷署に向かう。シバカリーワラでも、西永福まで行ってウミネコカレーでも、何でもいいな、とにかくお腹がカレーと決まっている。

三茶に来たついでに、家賃やら光熱費やらを銀行に準備。先週入ったばかりの給料がもうすっからかんだ。もう、知らぬ間にいろいろ引き落とされているから怖い。常にお金がない。おいしいものには前のめりで払いたくなるのに……。誰に払っているか分からないお金って、どうも払うことに抵抗がある。昔は徴収しに来てくれる人に払っていたんだろうけど、ライフライン事業はどんどん人件費を削減していて、なんだかありがたみがない。生活に欠かせないものだとはわかっていても、つい軽んじてしまう。ごめんなさい。星野源の『そして生活はつづく』にも、携帯料金の払込のこと、書いてあったな。

何かあったときのために貯金をしておけ、と親には口酸っぱく言われるけれどどうもお金を貯められない(というかこうして風邪をひいても医療費はケチってしまう)。言い訳をすると、貯金をしてまで生活の質を下げることは理解できないのである。安い、低品質のものを食べたり、気に入らないところはあるけど安いからかった服を着たり、その感覚は分からない。今の自分の身体や気持ちを大切にして、仕事を一つ一つ全力でやって、どんどん次に繋げていくことのほうがよっぽど未来への投資になるのでは?お金は通「価」だから、使いみちはいろいろあるけれど、使い方は「払う」だけだ。だったら、この身体や頭のほうが何倍も何十倍も使えるなって思う。

しぶしぶ振込みの手続きをして、免許更新の講習。かなりスムーズに進み、1時間もかからずに終了。府中じゃなくて本当に良かった。写真の出来は安定のサイアク感で、鼻の下のカサカサは写らなかったものの、美容師さんに申し訳ないくらい髪のボリュームの出方がおかしかった。またこれを数年持つことになるのか……。春から痩せたので顔の丸みは絶対値として減っているだろうけど、髪のせいでトータル印象変わらず。畜生。そういえば、撮影担当のおじさんに「右肩が上がってる」「左を向いてる」と言われた。正面を向いているつもりだったのに、どうやら感覚が歪んでいるらしい。整えなければ。ああ、仕事も右肩上がりになれば良いなあ、頑張ろうと思う。

免許証の出来の悪さにニヤつきながら三茶の駅に戻る。ちょうどタイミング良く来ていた渋谷行きのバスに乗り込んだものの、気持ちは国立。世田谷線で下高井戸に行ったほうが近かったかな〜と考えて、乗り換え検索してみると、そういや吉祥寺経由でも国立に行けることに気づく。せっかくなので、吉祥寺の百年に寄ってから国立に行くことにしよう。

久し振りの吉祥寺、未だに何故住みたい街ナンバーワンなのかがわからない。良いお店はあるものの、街のサイズ感が微妙だな、と思う。百年のオープンまで少し時間があるので、ゆっくりと向かって、ほぼ開店と同時に入る。店内では展示の設営と掃除をしていた。確かにこんなに早く本屋を目指してくる人、そんなにいませんよね、わかってるのにごめんなさい、という気持ちで本を見る。向井周太郎、伊藤俊治津野海太郎の本にビビッと来てお買上げ。大体装丁で買ってしまう。羽良多平吉と、平野甲賀だった。帰り際、入口の看板に「マーク・ボスウィックのプリント入荷しました!」と見つけるも、きっとすぐには手を出せないだろうな〜と泣く泣く店を後にした。プリント、うちにも置いたら売れるかなあ。写真は写真集として編集が効いているのが個人的に好きだったりもする。

中央線は学生もお年寄りも多い。というか車両が多くて人が多い。普段電車に乗らない生活なので、大きな路線を利用すると風邪をもらってくることがある。テレビで見た「吊革は汚いから触らない」族の話、気持ちは分からなくないけど、そこまで嫌うあなたも別に清潔ではないのでは?なんだか嫌な世の中だ。好きな人ならなんだってできるんでしょうよ。

モヤモヤしつつ、国立に到着。比較的閑静な北口5分ほどまっすぐ歩くとダバクニタチがあった。AMIのエミさんから聞いていたトールさんは日本人ではないのだろうか、出で立ちがインドだった。お母さんは割烹着でフロアをちゃきちゃきと回していて、とてもかわいかった。奥様かな?もすごく丁寧に料理を一つ一つ説明してくれて、良い方だった。2種のカレーといろいろついてくるダバランチをチョイス。チャトニという、インドのジャムらしきものを初めて食べたんだけど、これがまた良かった。今日はミントで作ってあって、カレーが爽やかで風味豊かになった。レモンのピクルスは辛め。少しずつ味見をしながら、日本人らしく、おそるおそるすべてを混ぜて食べていく。山田精一杯の大胆。こういう外国の大胆さには憧れを抱かずにはいられないし、つくづく日本人であることを思い知らされる、いや、いいんだけど。カレーは編集が実によく考えられている食べ物だ。お会計は、ご飯をインド米にしてもらったので+100円して1300円。850円のプレートもあったので、こんなに美味しくてもやっぱり国立価格だなあと思った。東京や、それこそ世田谷はやっぱり物価が高いと思うこともあるけれど、この水準だからこその平和や穏やかさもあったりなかったり。とにかく今住んでいる場所は好きだ。

もうひとつ、エミさんから教えてもらったBORTON(ボートン)へ。日向夏とレモンのデザートをイートインで。コーヒーはインド。柑橘&さっぱりのクリームでとても美味しい。グラスがVISION GLASSってのがまた良い。堅牢なので隅々までスプーンですくって食べた。隣の席のお姉さんはインスタグラムが好きそうで、スマホとは別にミラーレスのカメラで撮影。なんでもSNSで載せられちゃう時代に「写真撮っていいですか?」と訊くのってなんだか矛盾してるな―と思う。でもその一言でスムーズになったり、会話が始まったりすることもある。ストリートフォトも人の顔が写ってるどのうこうので問題になるけど、一体路上は誰のものなんだろうか。その場所に居た人は、その場所に咲いていた花みたいなものだと思うけど。おしゃれなお姉さんはきっとおしゃれな写真を撮ったであろう後でコーヒーをめちゃくちゃズビズビと音を立てて飲んでいた。お抹茶の飲み方はそのほうが正しい。

ふらふらと国立で気になっていた古道具・雑貨屋を3軒めぐる。GARAGEはお休み、レット・エム・インではメキシコのブサカワ魚の灰皿らしきものを2体買う。「ガワ(うつわ)はどう使うかと問いかけている」とアリクのヨッシーさんが言ってて、それを聞いて以来、出会ったうつわを本来の目的ではない使い方で使えないかを試している。たばこも吸わないし、ポプリとか入れようか。最後に寄ったコレノナはかなりエッジが効いていて面白かった。小さなテナントに広がる、昭和?大正くらいの日本。値札が付いていなかったものもあるので、コレクションなのかな。ここに来たことを記憶しておきたかったので、小さなお皿のようなものを買った。あの空間を作っていながら、お姉さんはちょっとおてんばな感じで、会えて良かった。今度また、領収書をもらいに行こう。

駅に戻り、中央線で新宿まで出てから、小田急の下北沢で下車。なんとなく、B&Bに寄る。ずっと気になっていたアタシ社の『たたみかた』があった。その他気になった本のタイトルをメモ。2軒も本屋に寄ったので、お腹がギュルギュルする。しばらく風邪からくる脱水状態だったからか、便秘気味になっていた。そうか、本屋に行けば出るのね、と得した気分になる。お手洗いを借り、いろいろ断念して『たたみかた』だけを買って、茶沢通り経由で帰ることに。カイソに寄ってみると、もうパンはほとんど売り切れていたので、セントのお菓子を一つ買って帰宅。いざというときに食べよう、誰かを呼んでお茶でもしながら食べたいな。

記憶したいもの、繋がりたい場所にお金を使った一日。さっそく『たたみかた』を読む。20代後半の悩みは、30代の人の言葉にヒントがある気がする。

4月27日

湯船に浸かるときは、基本的に本を読む。たまに動画。Amazonプライムでひたすら「落語心中」を観てふやけた日もあった。むしろ湯が冷めるっていうね。

「本を読む」という行為は、一見受動的だが、結構考えごとを促進するので、自分にとっては能動的行為と捉えている。いつの間にか、本の内容から離れてぜんぜん違うことを考えてるときもある。

 

で、今日は「アメリカのジャポニズム」「ジャポニズム」を読んだ。ヨーロッパやアメリカの文化・芸術に浸透していった日本の文化に関する評論なんだが、書評はさておき、読んでいて、「文化だ!!!」と思った。

 

自分のテーマが「文化」だって。

 

というのも、興味関心があること、自分が仕事にしていきたいことを、集約できる言葉を探していたんである。

 

アートや写真も好きで、「芸術」もなかなかいいなと思った。今、ノストスブックスのテーマはこれ。とてもいいし、好きなんだけど、ちょっとまだ足りない。

 

「生活」も含めたい。生きる限り生活は続くと星野源も言っているし、私が大好きなバンド・LOSTAGEは「生活」がテーマである。これも大切にしたい。

 

となると、これらを包括するもっと大きいテーマでいかないと。それが「文化」だと気づいた。言葉としてはごく一般的なんだが。

 

人として生きる限り、個では「生活」が続く。人類として生きる限り、「文化」「文明」が連綿と続いていく。時代を超えて。それをもっといろんな切り口で伝えていきたい。本も、芸術も、写真も、音楽も、髪も、服も、食も、生活も(諸々カブってる言葉もあるが)。

 

ということで、テーマが決まりました。「文化」です。

 

3月26日

今日はnsotos booksに出勤。

ご近所のMERCI BAKEでは根室からVOSTOKがやって来てポップアップショップ。初めて見た商店街の店3軒分の行列、寒いのにお客さんの熱量が熱かった。

 

今日は正面展開をビートニクに。主にギンズバーグバロウズの読みもの。当時のポエトリーリーディングの写真、誰か撮っていないんだろうか。あとはシティライツブックストアの雑貨もまた仕入れたい。愛用してるHOWLキャップ、仕入れたら欲しい人いそう。

 

次に週のアクセス集計を見て、来週へのレポート作り。CDを取扱い始めたので、ヘッドホンも購入。昨日ナディフへ視察に行ったら、広さもあるけど什器が揃ってた。平置きのスタンド、CDを3×10で陳列できるアクリル什器。そんなに高くないもので十分そうだから数揃えよう。

 

EC/店頭統一でペルソナを設定中。作り話はどうも苦手だ。明日みんなで突き合わせてどんな答えが出るかな。

 

山下書店でリファレンスとしてアンドプレミアム、ポパイ、ギンザを買ってくる。雑誌はやはり見せ方がうまい。写真、なんとなくで撮っちゃだめだ。商品写真だけどちゃんと雰囲気を考えて撮らないと。あくまで理想を、イメージを膨らませる役割。コンテから起こさなきゃな。あと、モデルのファッションも最低限ちゃんとしたい。長く使う写真なんだから。

 

入荷をスマレジに登録。ここがぱぱっとできないと、どんどん品出しが遅くなる。入荷したら最優先で登録、とかじゃなく、発注/入荷/登録/品出し/EC用撮影/ECアップのスケジューリングをしっかりすることが大事だと思った。当たり前なんだけど、小さな店だとなかなかできないこと。

 

SNSの使い方について再検討。特にInstagramTwitterは古着屋の運用が参考になると思った。とにかく店舗にはソッコー出す。通販は後日。情報を即時的にキャッチできるSNS/見逃してもあとで見直せるメール/とか、使い分けたり、見せ方を変えたりするのがいいのでは。今いちど、それぞれのツールの性質を洗い出して、それに合った使い方を店側も。メールって、自分が見たいときに見るものだし、流れないもの、とかね。それに、こうすれば店舗に来ることのメリットももっと増えると思う。月一のダブルポイントデーもやりたいな。うちはECだけじゃない、店舗もある店だ。店の雰囲気ももっと知ってもらいたい。

 

帰りにサミットへ。大きなスーパー袋を持ったまつもとの大将の背中が見えた。それもあってか?スーパーはサミットが好きだ。近所のスーパーは匂いが苦手で、三茶のSEIYUはものは豊富にあるけど選択肢がない。サミットはキレイだし、適度にバリエーションがあるところも気に入っている。2歳くらいの男児に追いかけられてニヤニヤが止まらなかった。くそ可愛かった。引っ越して3年目にしてようやくサミットのポイントカードを作った。エコポイント貯めよう。節約よりも還元。今日はポイント5倍デーだった。

3月25日

今日はお昼から、画家でイラストレーターの椎木彩子さんと多摩センターへ。庭デザイナーの横山裕幸さんのオフィスを訪問した。

うちで年末に取り扱っていた椎木さんのカレンダーを買ってくれたという横山さん。nostos booksで椎木さんの展示を企画することになり、そのテーマやインスピレーションを横山さんからいただくことに。打ち合わせで見せていただいた横山さんの蔵書が良い本ばかりで、庭にまつわる文学、絵本、都市デザインの古書、建築家の作品集などなど。アイデアがいくつか出たので、これをまとめて、ハコとしてうまくまとめられたら。これから種を蒔いて、育てていく過程をオープンにしていくことも考えている。展示が収穫祭みたいな感じで、お客さんと完成の喜びを分かち合えたら。

庭の話をした後で、開発エリアである多摩センターを歩いてまわったのは、なんだか八王子に住んでたころとまた違う視点で街を眺められておもしろかった。南大沢には寄れず。学生生活に全然良い思い出はないけど、寮母のおばちゃんに会いたいな。退寮のときに忘れていった物干し竿、使ってくれてるかな。

解散後は野中ユリの展示を観に恵比寿へ。LIBRAIRIE6はシュルレアリスムやダダにまつわる展示を開催していて、併設のシス書店は小さいながら関連書籍と作品がぎっしり。ギャラリストの佐々木さんもとても明るくて素敵な方だった。また通いたいギャラリーがひとつ増えた。

野中ユリはうちにも蔵書があるので度々見ていたけど、じっくりと向き合うのは初めて。コラージュはいろんな作家さんをちょこちょこ観てきたけど、この人は異なるいくつかの世界を1枚に共存していて、それでいて分離していない。デカルコマニーはシュルレアリスムの頃に出てきた技法だそうだけど、偶然性を保ちながら描いたような作品だった。版画はとっても繊細で美しかった。

そのまま歩いてNadiff a/p/a/r/tへ。写真分離派『写真の非倫理 距離と視角』展を観て、本屋を物色。欲しい本がありすぎて心で泣いた。欲しい本を欲しいときに買える程度の財力はつけておきたい。仕入の参考までに本・雑貨を見つつ、主にディスプレイを視察。スペースの広さはどうにもできないけど、什器を増やせばもっといろいろ見せ方を改善できそう。CDの置き方も参考になった。うちももう少しタイトル増やしてもいいかも。そしてなぜかミツメが。1時間半では足りなかった。未だに良い本屋でお腹が痛くなる。

帰りに恵比寿駅の成城石井に寄った。ここ最近は呼吸が乱れて身体が萎縮しているので、緩められるよう香りの良い料理を作ることに。しかし絞れずにスパイスコーナーで30分悩む。最終的にコリアンダーシードのパウダーと花椒のパウダー、切らしていた豆板醤と甜麺醤も購入。本当は山椒も欲しかったけど、意外と高かった。スパイスの大切さを改めて感じながら、ほんのすこーし大航海時代に思いを馳せた。